クラフトビールとの出会い:コッツウォルズのクラフトビールが見せてくれた新たなビールの世界

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私がクラフトビールに本格的に関心を持ち始めたのは、**デヤ・ブリューイング(Deya Brewing)**という醸造所のビールを味わった時でした。イギリス・コッツウォルド地方の美しい街、チェルトナムに拠点を置くこのブルワリーは、まさにクラフトビールの革新と情熱を体現しています。最初に口にしたデヤのビールは、まるで今までのビールの常識を覆すような鮮烈な体験でした。ホップが弾けるような香り、ジューシーでフルーティーな味わい、そして滑らかな口当たりに、思わず「これがビールなのか?」と驚いたのを覚えています。


リアルエールからクラフトビールへ:新旧の融合

日本の大学生時代にビールの味を覚えたのはかれこれ30年以上前、イギリスに渡ってきてからはイギリスの伝統的なリアルエールが大好きでした。ロンドンのパブで「フラーズ・ロンドンプライド」や「ティモシー・テイラーズ・ランドロード」を楽しむ時間は、穏やかな炭酸とモルトの甘み、控えめな苦味が心地よく、どこか懐かしい気持ちにさせてくれます。リアルエールは自然発酵による繊細な風味が魅力で、その伝統には深い敬意を抱いています。

しかし、デヤ・ブリューイングのビールに出会ってから、新しいビール文化に目を向けるようになりました。デヤのビールは、伝統に縛られない自由な発想と大胆なフレーバーが魅力です。特に彼らの代表作である「ステディー・ローリング・マンSteady Rolling Man」は、ヘイジーなペールエールで、シトラスやトロピカルフルーツのアロマが特徴。口に含むと、フレッシュな果実のようなジューシーさが広がり、思わずもう一杯飲みたくなります。


イギリスのクラフトビールシーン:伝統と革新の融合

イギリスのクラフトビールシーンは、ここ十数年で劇的に進化しています。伝統的なリアルエールの文化を尊重しつつも、新しい醸造技術やスタイルに挑戦するブルワリーが増えているのです。デヤ・ブリューイングもその一つで、彼らのビールには「伝統の重み」と「新しい風」が見事に融合しています。

例えば、ロンドンでは「ビーバータウン(Beavertown)」が、グラフィックデザインや缶のパッケージでも目を引く革新的なスタイルを展開していますし、スコットランドの「ブリュードッグ(BrewDog)」は世界中にクラフトビールの魅力を広めました。これらのブルワリーが切り開いた道を、デヤは独自のスタイルと洗練されたビールでさらに進化させています。


デヤブリューイングカンパニーは、創業者のセオ・フレイン氏がビールとその文化に強い情熱を持って2015年に設立しました。フレイン氏はヘリオット・ワット大学で醸造・蒸留の修士号を取得し、さらにアメリカのオーデル醸造所でインターンシップを経験。そこで品質管理の重要性とチーム全体で品質向上を目指す企業文化を学びました。

デヤ・ブリューイング

会社設立当初は、看板商品となる「ステディー・ローリング・マン」をホームブリューの規模から始め、4バレル(BBL)の設備で醸造していました。その後、2016年には4,000平方フィートの工場スペースを確保し、10BBLの醸造設備と800平方フィートのタップルームを備えた施設での操業を開始。ヘイジーなペールエールやIPAの人気が高まるにつれて、醸造チームを拡大し、発酵タンクの増設や缶詰めラインの新設を行いました。

2019年には事業のさらなる拡大に伴い、以前の施設からわずかな距離に位置する25,000平方フィートの新施設に移転。イギリスのSSV社製の40ヘクトリットル4槽式醸造設備を導入し、タップルームも併設しました。2020年には年間8,000ヘクトリットルを生産しました。現在では、看板商品の「ステディー・ローリング・マン」に加えて、伝統的なイギリススタイルのビールや樽熟成ビールなど、多様なスタイルの製品を展開しています。デヤブリューイングは、20名ほどのチームで運営されているそうです。

参考:https://www.brewersjournal.info/steady-as-they-go-the-story-of-deya-brewing-company/ (2021年1月15日掲載)

ヨーロッパに広がるクラフトビールの波

アメリカから始まったクラフトビールのムーブメントはアメリカに始まりました。その影響が及んだのはイギリスだけにとどまらず、ヨーロッパ各国でも、小規模なブルワリーが次々と誕生し、独自のスタイルを確立しています。ドイツでは、伝統的なラガーやヴァイツェンをベースに、ホップを効かせたモダンなビールが人気です。ベルギーでは、トラピストビールの文化を背景に、サワーエールやフルーツエールが進化しています。イタリアスペインでも、地元の食材やワイン文化を取り入れた独創的なクラフトビールが注目を集めています。


クラフトビールの楽しみ方:おすすめ銘柄を試してみよう

デヤ・ブリューイングのビールをはじめとして、次の銘柄もぜひ試してみてください:

  • デヤ・ブリューイング(Deya Brewing) ステディー・ローリング・マン(チェルトナム、イギリス) ヘイジーなペールエールで、ジューシーなホップの香りが楽しめます。
  • ブリュードッグ(BrewDog) – パンクIPA (Punk IPA)(スコットランド) クラフトビールの代名詞とも言えるIPA。トロピカルフルーツと苦味のバランスが絶妙です。最近日本にも進出しましたね。
  • ビーバータウン (Beavertown) – ガンマ・レイ (Gamma Ray)(ロンドン、イギリス) アメリカンペールエールで、シトラスと松の香りが印象的。

クラフトビールで広がる世界

クラフトビールは、ただの飲み物ではなく、ビールに対する情熱や革新を表現する文化そのものです。リアルエールの伝統を大切にしながら、新しい味わいを追求するクラフトビール。デヤ・ブリューイングのビールを飲みながら、そんなビールの進化と多様性を楽しんでみてはいかがでしょうか?次の一杯が、あなたのビール観を変えるかもしれません。

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